他人同士が一緒に暮らすとなれば、色々な問題が生じるのは仕方ありません。そのためにストレスを抱え込んでしまい、やがて生活が破綻してしまわないようにするためには、早めに適切な措置を取っておくべきです。
同居は結婚に向けて夫や妻になる人と始める場合もあれば、自分や配偶者の両親との場合もあります。それぞれに悩みの種類や解決法が異なる部分が大きいので、分けて考えてみましょう。嫁姑問題は長年の課題なので、しっかり考えておく必要があります。
まず大前提となるのは、自分と他人では育ってきた環境や価値観がまったく異なるため、お互いに気遣いなしで同居して何の悩みもなく暮らすのは不可能であること、そして相手がその事実を認識していないケースも存在することです。過度な期待は失望の原因なので、現実を踏まえておきましょう。
結婚に向けての同居
日本の法律では婚姻している夫婦は同居する義務があると民法で規定しており、一般的にも結婚したら一緒に暮らすケースが大部分でしょう。まれに別居婚を選んだり、仕事の都合で単身赴任になる場合もあるにしても、入籍した当時は共に暮らすのが通常です。
それ以前の段階から同居しているカップルも少なくありません。同棲期間を経ると、結婚という重大な決断をする前にお互いの生活観やスタイルを理解できるため、婚姻状態の継続が困難であると後になって気付いて離婚する危険を小さくできるでしょう。
いくらデートを重ねても、外で会うだけでは分からない部分があり、結婚するとそうした側面を主に見ていくわけなので、ぶっつけ本番で籍を入れた後の生活を始めるよりも、それ以前に試験期間を置くほうが賢明で慎重な対策と言えるでしょう。
年齢の高い世代では、婚前に同居するのは常識外と主張する方もいるものの、その話が通用する時代でもなくなっていることや、現実的に結婚に失敗して離婚しバツイチになるリスクを考慮すれば、一緒に暮らしてみる経験は無駄ではないと思います。
この時に考えておきたいのは、お互いに我慢をしすぎないで意見を出し合って共通の生活習慣を作り出すことです。お互いの癖や習慣で気になる点を見て見ぬ不利をしてストレスを溜め込むと、やがて爆発してしまいかねません。当初は幸せが大きいために問題なくても、相手への愛情が冷めてくると大きな悩みになりかねません。
そのため、問題が大きくなる前に解決しておくのです。自分と相手との生活習慣の違いを見出すためには、実際に同居してみなくては分からない部分が多くあります。そのため、実行してみながら話し合いを重ね、ルールを作成していきましょう。
険悪な状態になってから交渉しても、感情的になってしまって前向きな話し合いにはなりづらいため、タイミングとしては同居を始めた時期やプロポーズの返事をもらって結婚が決まった時、あるいは婚姻が成立して入籍した直後、結婚式の挙式前後といった幸せに包まれており、新生活に思いをはせている時期がふさわしいでしょう。
結婚して何年も経過してから同居のルールを作ろうとしても、相手が応じてくれるとは限りません。そうなってしまう前の段階で手を打っておくのが、問題を回避して深刻な悩みに陥らないようにするための手段なのです。
結婚相手の両親との同居
結婚すると、遅かれ早かれ相手の両親と同居するケースが少なくありません。いわゆる嫁姑問題が発生したり、夫が妻の親と暮らして肩身の狭い思いをしたりしているのは今に始まった話ではなく、昔からの悩みの定番です。
両親との同居を嫌う方は多く、結婚前に二世帯住宅や一緒に住まないと約束していても、介護が必要になると手のひらを返されたという話を耳にする機会もあります。残念ながら、夫婦の間でも意見が一致しないばかりか、こうした事情の変更によって話が変わってしまうケースもあるのです。
たとえ望まなくても、結婚すると相手の両親と同居せざるをえない場合もあります。希望しないなら回避するのが一番ではあるものの、避けられないケースがあることも無視するわけにはいきません。
根の深い問題である一方で、両親との同居をうまく成立させている人もいるので、そうした例を参考にすれば、悩みを解決できる場合もあります。どうにもならないと諦める前に、まずはできる対策を考えてみましょう。
真っ先に協力を取り付けておきたいのは、夫（妻）です。相手の両親と住むのなら、自分が直接抗議すると険悪な空気になりやすいので、血のつながった子供から親に伝えて問題が深刻化するのを回避しておきたいところです。
血縁関係のない義理の両親との同居には気苦労や悩みが付き物なので、配偶者の協力がないと無理をしてしまいがちです。負担を減らすためには、すべてを自分で引き受けるのではなく、夫や妻の助けを借りて気持ちを代弁してもらいましょう。
両親に遠慮してしまいがちである家庭が多いでしょうが、無理のない関係を作っていくためには自己主張も必要です。礼儀を欠かさないように配慮しながらも、自分達ばかりが犠牲になってしまわないようにしておきましょう。
自分の両親との同居
あなたが結婚している方であれば、両親と奥さんや旦那さんとの架け橋になってください。子供の頃から育てられているために当然と感じている親の振る舞いも、配偶者から見ると違って見えるものです。
親との同居が負担になり離婚に至ってしまう例もあるため、円満な家庭環境を築くのは結婚生活を円満に送るために重要な問題です。そのためのキーパーソンとなるのは、血のつながった子供なのです。
義理の親子で文句を言い合うよりは、やはり実の子供を仲介したほうが感情のぶつかり合いにならずに済みます。クッションを置いて問題が大きくならないように気を使ってあげてください。
同居と嫁姑問題
一緒に暮らしていて大きな悩みになりがちなのが、嫁姑問題です。それぞれの家庭によって様々な形があるでしょうが、一般的なのは夫の両親と暮らしていると最も高頻度で生じる悩みでしょう。
女同士の戦いになってしまうため、当人同士が激しい感情に捕らわれてしまうと、冷静に落ちどころを探すのは難しくなるため、やはり夫の関与が嫁姑問題から脱却するための糸口になることが多いでしょう。
嫁姑問題というと、嫌味な姑が嫁に家事や料理をはじめとして細々した件について文句を付けたり、自分の考えや価値観を押し付けたりしているイメージがあるものの、逆の立場になっているケースもあります。嫁が実験を握り、舅や姑を圧迫する場合です。
仮にも愛があって結婚した夫婦であっても、同居していると様々な揉め事が生じ、さらには離婚してしまう場合も少なくありません。まして、嫁姑の間には最初から愛情があって一緒に暮らすわけではないのだから、穏やかにやっていくのは容易ではないでしょう。愛する夫を育てた両親を大切にするのは当然という声もあるものの、実例を見ていくとそんなものはごく一部でしか通用しない理想論にすぎないと分かります。
話し合えば解決するとは限りません。時には距離を置いてしまうのも解決方法の一つです。嫁と姑が必ず仲良くやっていけるわけではないため、適度に離れるのも有効な対策です。
実の親子ですらうまくいかない例があるのに、嫁姑問題を必ず円満に解決できると考えるのは無理があるでしょう。どうしようもない時には、夫に間に立ってもらうほか、別居についても考えてみたほうがよいのかもしれません。
同居は最良の選択肢か
一緒に暮らしている状態が続いていると、別居を切り出すのは勇気が要ります。離れて生活しようと言い出した段階で険悪なムードになってしまうと恐れる方も少なくないでしょう。
しかし、本質的に見ると一時的に同居を解消するのが賢い選択である時期もあります。夫婦や親子など、一緒に暮らしてもよい関係であっても、それが常にベストとは限りません。適度な距離を調整した結果、しばらくしたら円満な関係に復帰できる場合もあります。
相手との距離感は万人に共通のものではないため、時にはあえて遠ざかる決意も必要です。永遠に一緒に暮らしたり、離れたら二度と近づかないといった両極端な思考をする必然性はないので、その時々に合った対応を柔軟に心がけてください。